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第1回 「デジタルと社会をつなぐ研究会」開催!

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「デジタルと社会をつなぐデザイン」研究会第1回 レポート

去る2月9日、WeWork 日比谷フォートタワーにて、産業技術総合研究所人間拡張研究センター主催の「デジタルと社会をつなぐデザイン」研究会第1回会合が開催されました。企業のデザイン部門や新規事業開発部門の方々を中心に、総勢23名にお集まりいただきました。

冒頭に事務局の渡辺より、本研究会の主旨説明を行いました。本研究会の設立背景として、デジタル技術の進展と様々な社会課題の深刻化の2点を取り上げ、デジタル技術を活用した社会志向型事業のデザインへの期待が高まる反面、その実践に必要な知見や実践の機会の不足、企業内意思決定の難しさがあることをお話ししました。その上で、本研究会の目指す方向性として、課題意識を共有する多様な関係者が参加し、現状の課題や必要な取り組みを検討するコミュニティづくりを目指すことを説明しました。

次に、社会志向型事業のデザインに先進的に取り組んでいる2社に実践の過程と課題について事例紹介をいただきました。

1つ目の事例紹介として、大日本印刷株式会社の松尾 佳菜子さん、鈴木 英恵さんのお二人から、スマホを使ったたすけあいアプリ「May ii(メイアイ)」についてお話いただきました。社会価値と事業価値の両立に向けた取り組みやご苦労を詳細に紹介いただき、本研究会のトップバッターとして、とても学びの多いお話をいただけました。

2つ目の事例紹介は、株式会社日立製作所の原 有希さん、平井 千秋さんより、「社会との協創における取組事例」として3つの事例をご紹介いただきました。未来予測の技術を用いた公共政策決定支援、電気自動車の災害時活用など、先進的なアルゴリズムや社会インフラ技術を有効活用した社会価値創出の取り組みで、どうデジタル技術を活用するか、という本研究会の主旨にもぴったり合った内容のご紹介をいただきました。

その後休憩を挟み、「デジタルと社会をつなぐデザインの実践・普及に向けた現状」というテーマでワークショップを行いました。参加者の皆さんに4グループに分かれていただき、参加のきっかけや本研究会のテーマに関する課題感、今後やってみたいことを議論いただきました。今回参加いただいた方々の多くは何かしら社会課題に対する取り組みに関心のある方々でしたが、その中でも、自分が事業開発の中でどういう役割を担うか、社会に対する効果や事業上の意義をどう評価・コミュニケーションするか、どう関係者を巻き込むか、等に苦労している、といったお話がでました。その上で、緩やかなコミュニティ作りや実際に実践を行っている場の見学、共通で使えるツールや場づくり等、今後取り組むべきアイディアがたくさん出てきました。ぜひ皆さんと一緒にこうしたアイディアを実現できるように進めて行ければと思います。

終了後、参加者の皆様にアンケートにご回答いただきました。ご回答いただいた皆様には概ね初回は楽しんでいただけたとのことで、よいキックオフになったと考えています。

【大日本印刷様のご講演の感想】

・マネタイズへの試行錯誤など、チャレンジの裏側にあるご苦労を赤裸々にお話しいただき、悩みに共感するとともに、とても参考になった。
・上手くいかないことがあっても、担当者の方が楽しそうに取り組まれていることが印象的だった。

【日立製作所様のご講演の感想】

・AIの使い方に感心した。複数シナリオが同時に比較できる脱炭素シミュレータはさすがだと思った。今後ビジネスモデルを検討してほしい。
・デザイン部門に求められる役割や貢献が変わる中で、さまざまな試みと発信を続けられていることが理解できた。
・自治体向けや市民から入る話などが面白かった。特にEVの活用は、どうやって進めるのかが難しいテーマなだけに、企業人として興味がある。

【本会のテーマ「デジタルと社会をつなぐデザイン」に関し、ご自身の問題意識】

・社会にゆとりが必要なのではないか。資本主義と乖離することなく、方法論でもない、人間や組織の在り方の変容を考えている。
・環境問題への危機感の薄さをデジタルで変えられないか。
・テーマ自体が少し抽象度が高く、問題認識にまで落ちてこない印象を受ける。
・社会課題解決とビジネスとの両立。必要資金の獲得と社内の説明。
・BTCの3つの観点を同時に解きつつ、さらに地域というステークホルダーが多い中で、ビジネスを展開していくのは困難である。
・金銭以外で行動変容を起こさせる可能性への期待。
・デジタル、アナログ、個人、社会、という世界が、デザインの力でひとつにまとまる、まとまっているように見える、感じられるようにしたい。
・ここから実際にプロジェクトを始めたい。

【今後の本研究会の活動に期待すること】

・いろいろな人と知り合う。現場に行く。実践者の活動を実際に見聞きする。
・マーケットをしっかりと見る。市民を巻き込む。
・合同で社会実験を行い、結果を発表。研究会としての(中間段階も含め)目指す成果を明らかにして共有する。
・フラットでオープンな雰囲気の中で、なんでも相談できる場に育ってほしい。可能なかぎり縛りを緩く、セミクローズで、課題共有や相互理解のプロセスをともにし、連携のきっかけが生まれると良い。
・都心だけではなく、関東近辺などの地域での開催。

【その他、参加しての全体的な感想】

・さまざまな事例が聞けて良かった。
・こうした活動の継続が大事だと思う。
・同じような課題を持ち、興味や関心のある方々が多く、刺激になった。
・今ぐらいの規模がちょうど良いが、メンバーを拡充していったほうが面白いかとも思い、悩ましい。人が増えても今回のような雰囲気のまま運営してほしい。

本研究会は今年計4回開催を予定しています。今後参加を希望される方はぜひお問い合わせいただければ幸いです。

文責:渡辺 健太郎

開催概要

イベント名:「デジタルと社会をつなぐデザイン」研究会 第1回会合
主催:国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張研究センター
協力:株式会社AIST Solutions
開催日時:2024年2月9日(金)15:00-17:30
開催場所:WeWork 日比谷フォートタワー
参加人数:23名

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